2004-04-01から1ヶ月間の記事一覧
この手の本、一冊の本に仕上げる為に、話題の水増しで何の本か判らなくなり勝ちなのだが、この本は、辛うじて、メロンパンの本にはなって居る。
最新の遺伝子科学の総説かと勘違いして買ったのだが、倫理学の話だった。
元銀行員(に限らず、手に職を持って居る人)の小説は、本職の知識に縛られ過ぎて、却って、矮小で詰まらなかったりもするのだが、池井戸の場合は、前職の知識が、ちゃんと素材にまで還元されて居て、本筋はしっかりと小説になって居る。
宮城谷が日本の話を書いたらこうなるのだろうか。挿話一つ一つを書き過ぎず丁寧に積み重ねているから、主人公が生き生きとしている。
調査の過程を、余りにも正直に(時系列に)書き過ぎていて、逆に感情移入し辛い。著者の個人的な話など、読みたいとも思わない訳で。